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 二人の世界


   「いいか、。腕立て伏せ1000回が終わったら、次、腹筋1000回な。」
   「はいっ。」
   いつもの朝の風景。
   彼、道徳真君は、自分を一人前の仙人にするための師匠だ。
   けれど「師匠」などと呼ぶ事はない。
   「コーチと呼びなさい。」なんて、ちょっと変わっている。
   たしかに、見た目若くて、仙人というには頼りないカンジもするけれど。
   だけれども、コーチには、自分には無い何かがたしかにある。
   普段はのほほんとしてるくせに、いざ修行となったら、別人のようだ。
   いつか、彼を越える仙人になりたい。
   それが、自分の夢だったけれど、最近ちょっと違う。
   「どうした、。もう、へばったのかい?」
   考えことしていたら、すぐに見抜かれる。
   なんだかんだ言って、彼も偉大な仙人だ。こんなヒヨッコの考えなんて
   お見通しなのかもしれない。

   「次、腹筋1000回終わったら、スクワット1000回な。」
   相変わらず、容赦が無い。
   さすがに、腕立てふせの後だと、息も切れてくる。
   こんなに、一生懸命鍛えて、仙人になれるのだろうか。
   なんだか、すごく、不安だ。
   自分の夢、彼を越える仙人になる、というのはいつになったら叶うのだろう。
   こんなことをしていていいのだろうか?
   コーチは黙ったまま、スクワットに入っていた。
   不安そうに、コーチを見つめる。
   コーチは視線に気がついたのか、ようやく、スクワットを止めた。
   「どうした?。」
   あ、笑った。笑うとますます只の人のいいあんちゃんのようで。
   「こんな修行で、偉い仙人になれるのかなって。」
   思わず正直に答えてしまう。だって、コーチの笑顔の前では嘘なんてつけない。

   コーチは、また笑った。
   「は偉い仙人になりたいのかい?」
   ううん、違う。本当は、そんなものなれなくていい。
   大きく首を横に振る。
   本当は、本当は、コーチに認められたいだけなんだもの。
   コーチを越えるくらいになったら、隣に並んでも、いいでしょ?
   「あのな、、偉い仙人になるよりも、もっと大切な事が沢山ある。
   負けない事。それは他人にではなく、自分に。
   自分の心に負けたら、何にも出来ない。それだけ覚えてたら、
   免許皆伝だ!」
   まっすぐに、目を見て話すコーチは、いつだって、自信に満ちていて。
   ああ、こういうところ、勝てないんだな、なんて思ってしまう。
   「大丈夫だ、。お前は強くなれる。俺をいつか越えるような仙人にだってなれるさ!
   ああ、でも、お前が仙人になったら、ちょっと寂しくなるな。」
   ポン、と肩に手を置かれ、ちょっとだけ、頬が熱くなる。
   寂しくなる、って本当?
   「仙人になったら・・・仙号を考えなくちゃいけないな!
   『』なんて、どうだ!!」

   こういうところ、たしかに自分には無い何かがあると、感じてしまう。
   「コーチ・・・それじゃあ仙号でなくて、リングネーム・・・。」
   「ははははは!!!まあ、いいじゃないか!!」
   やっぱり、この人の側を離れるのは不安だ・・・。
   もう少しだけ、側にいてもいいかな。
   そんな自分に言い訳して。
   「さあ、!次は走り込み42.195kmだぞ!!」
   先に走り出す、コーチの後をあわてて追う。
   せめて、隣に並んで走らせて。
   そんなことを考えながら。
   




  ドリーム小説道徳修行編。ギャグ?


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