〓BACK〓




 君色想い


    太乙は、悩んでいた。
   目の前には可愛らしい包み紙の箱がある。
   1ヶ月前、 が太乙に押し付けるように置いて行った箱。
    受け取った時には気が付かなかったが、その日は特別な日だった。
   好きな人に告白してもいいという。
   『好きな人?!』
   あの日から太乙の頭の中でぐるぐると回っている。
   いままで がそんな素振りを見せたことなどなかった。
    イタズラかもしれない。
   第一これを渡してくれた時も、何も言っていなかった。
   太乙も特に何も気にせずに受け取ってしまったが、その後それが
   意味のあるものであるかも知れないと気が付いた時、パニックに陥って
   しまったのだ。

   「どうしよう・・・これ・・・。」
    置かれた箱を指でつついてみる。
   そんなことをしても箱が答えてくれるわけがない。
    本当は違うのだ。
   それがどんな意味を持って渡されたにしろ、太乙の心は決まっていた。
   太乙の方がずっと前から のことを好きだったのだ。
   もしかしたら、イタズラかもしれない、勘違いかもしれない。
   その気持ちの方が大きくて、箱を開けることができないでいたのだ。
   『だって・・・まさか・・・が、私のこと好きだなんて・・・ねえ。』
    悩んでいるはずが、知らずに顔がにやけてしまう。

   「よしっ!決めた!!!」
    太乙は自分の決意が揺らがないよう、大声で叫んだ。
   イタズラでもいい、間違いでもいい。
   自分の気持ちが決まっているなら、なんだっていいはず。
    震える指で、箱のリボンを解いた。
   出てきたのは小さいチョコレート。
   ハート型の真中に、 の気持ちが書いてあった。

    それを見て太乙の顔がますます緩んでしまう。
   と同時に今まで何も言えずにいたこと、返事を待たせてしまったことに
   気が付き、再び悩みだす。
    なんで1ヶ月も開けなかったのか、問われたらどうしようかと。
   考え抜いた末、結論を出す。
   「明日、 にちゃんと言おう。遅くなってごめん。 って。」

   明日はホワイトデー。想いに答える日。