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 ずっとあなたが好きだった


    本当は、言ってしまいたかった。
   ずっと、好きだったと。
    せっかく告白が許されているという日が1年間に1度だけあるというのに、
   とうとう、楊ゼンにいうことが出来なかった。
    せっかく用意したチョコレートも無駄になってしまった。
    1ヶ月前のあの日、楊ゼンのところにいくと、彼は沢山の女仙に囲まれていて。
   女仙達の嬌声を聞きながら、陰からそっと見るだけだった。
   きっと抱えきれないくらいのチョコレートと、答えられないくらいの告白と。
   そんなことを考えていたら、自分の分など幾千個のうちの一つ。
   とるにたらないものに思えて。
   そんなことを考えながら廊下を歩いていると、人とぶつかって転んでしまった。

   「あっ・・・。」
   声のする方へ顔を向けると、当の楊ゼンがこちらを見ている。
   「 ではありませんか。大丈夫ですか?」
    ぶつかったのはこちらだというのに、笑顔で心配してくれる。
   大丈夫というように、手を上げても、心の中は動揺していた。
    こんなところで会ってしまうなんて。
   だが他の誰かがいないか、思わず見回してしまう。
   だって今日はホワイトデー。告白した誰かと一緒にいるかと思っていた。
   きょろきょろする様子を見て、楊ゼンはくすり、と笑った。
   「誰も見てませんよ。転んだところは。」
    勘違いしているようだが、思い切って聞いてみる。
   今日は一人なのか、と。誰かと一緒に過ごすのではないか、と。

   「本当は、こんな日に一人ではいたくはないんですが、告白してもらえなかったので。」
    意外に思い、さらに問いただす。あの日沢山の女仙といたではないのかと。
    すると楊ゼンは困ったような顔をして、答えた。
   「いやだな、見てたんですか。・・・彼女達は丁重にお断りしました。
    他に好きな人がいるから、と。でも当人には言ってもらえなかったんです。
    僕の片思いかもしれません。」
    やはり好きな人はいるのかと、肩を落とす。片思いだなどと、彼には似合わない。
   「だから、今日は僕のほうから言おうと思って。
    ずっと探していたんですよ。あなたを。」

    あまりのことに驚きを隠せずにいると、楊ゼンは続けた。
   「
   よければお茶など飲みながら。今日は一緒に過ごしていただけませんか?
   できれば今日だけでなく、これからずっと。」
   見つめる真摯な眼差しに、思わず頷いてしまう。
   嬉しそうに笑う楊ゼンの華のような笑顔に見とれつつ。



  ホワイトデー用ドリーム楊ゼン編でした。
  色男ですね〜。書いてて恥ずかしかったです。自分でやっても恥ずかしい(笑)


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