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 朝日のあたる場所


    いつも背中ばかり見ている気がする。
   いつもいつも先を歩いて、後ろなんか振り向かないで。
   そんなところが好きなのだけれど、ときどきは振り返って欲しい。
   同じ歩調で歩いて欲しい。それは我侭なことなのだろうか。

   そんなことを考えながら山道を歩く。
   どうしても、ついてきて欲しいなんて、情けない顔でお願いなどされたら、
   ついつい、ついて行ってしまう、ダメな自分。
   それがどんなに大変だとわかっていても。
   ついてきて欲しいという割に、振り返らずどんどん先に行ってしまう。
   何度も「行かないで」といいそうになる。
   もう、背中だけを見ているのは嫌だった。
   「どうした、。置いていくよ〜」
   せっかく声を掛けてくれたのに、遠くて顔もはっきり見えない。

   体力だって、ずいぶん違う。日頃から「体力バカ」なんて言われている人に、
   ついていくのが大変だって事わからないのだろうか。
   いっそ、このまま置いていかれたまま道に倒れてみようか。
   もしかしたら、あわてて戻ってくるかもしれない。
   そんなことを思って顔を上げると、もう前を向いてしまっている。
   ダメだ、こんなところで倒れていても、絶対気がついてもらえない。
   第一、「置いていかれる」という行為が、ものすごくつらい。
   忘れられているようで。今だけではなく、いつも。

   息を切らしながらなんとか追いつく。
   山に登ったのはまだ暗いうちだったのに、上ではもう日が昇りかけていた。
   彼は朝日を昇る朝日を見つめながら、目を細めた。
   「お前にこの景色をどうしても見せたかったんだ。」
   にっこり笑う顔に、朝日が差し込む。
   眩しくて、目を逸らしてしまう。
   彼の笑顔自体が、朝の光のようで。

   突然、人影が、光を遮る。見上げると、彼が背を向けて、立っている。
   「どう・・・」
   声を掛けようとすると、彼はいきなり、大きく深呼吸して、

   「ーーーーーーっっ!!! ーーーーーーっっ!!!!!」

   耳を劈くような大声で、叫んだ。
   何を言われたのか最初わからずに、ぽかんとしてしまう。
   けれど、その言葉の意味するところが、だんだん脳に届いて、
   耳まで真っ赤になってしまう。

   「俺の一番好きな場所で、俺の一番好きな人に言いたかった言葉だ。」
   全身で照れくささを表現しているような彼の背中に、思わずしがみつく。
   さっきまで嫌いだった背中が、大きくて暖かくて。
   「・・・?」
   いきなり抱きつかれてあわてているのがわかる。
   そんなところも愛しくて。
   「大好き。」と小さくつぶやいた。




  ドリーム小説道徳告白編。男なら山に登れ!そして告れ!(笑)
  もしかしたら、私道徳の性格間違ってるかもしれません・・・。


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